日本肢体不自由児協会は家族と社会の間にたって、家族を支援し、社会を啓発し、肢体不自由児が 最も恵まれた環境にいられるようさまざまな事業を行っています。

協会の活動

ねむの木賞・高木賞

ねむの木賞・高木賞について

令和7年度候補者推薦受付終了

ねむの木賞は「ねむの木の子守歌」の歌詞著作権を肢体不自由児事業振興のために当協会へ下賜された上皇后陛下の御意志を永く記念するため、昭和42年に設けられたもので、医療型障害児入所施設、療養介護事業所、特別支援学校等において永年勤務し、障害児・者の日常生活指導などに携わり、優秀な成績をおさめている女性職員に対してその労をねぎらい、また、今後の益々の活躍を期待して毎年授与しているものです。

高木賞は、わが国で初めて肢体不自由児療育の体系をたてられ、療育事業に偉大な貢献をされた本会創設者故高木憲次博士の御遺徳を永く記念するため昭和42年に設けられたもので、肢体不自由児・者療育の領域において特に顕著な功績のあった方、または特に療育面で優秀な研究を行った方に対して授与するとともに、今後の療育の分野において活躍が期待できる方に対して高木奨励賞を授与しているものです。

第59回(令和7年度)「ねむの木賞・高木賞」贈呈式

 第59回(令和7年度)「ねむの木賞・高木賞」の贈呈式が、去る令和7年11月6日に心身障害児総合医療療育センター療育研修所において常陸宮妃殿下のご臨席のもと行われました。

 今年度のねむの木賞は、全国の関係施設・学校等からの推薦を受けて次の4名の方が受賞されました。

・相澤 幸代氏(理学療法士)
  福島整肢療護園(福島県)
・冨永 佐世子氏(校長)
  熊本県立熊本かがやきの森支援学校(熊本県)
・内田 真由美氏(教諭)
  埼玉県立川島ひばりが丘特別支援学校(埼玉県)
・岩田 直子氏(看護師)
  愛知県医療療育センター中央病院(愛知県)

 受賞者の皆さんはそれぞれの施設や学校等において、永年にわたり障害児・者の日常生活の看護、援助・指導業務に献身的に尽くされて、各職場の職員からも厚い信頼を得ている方々です。

一方、今年度の高木賞は次の方が受賞されました。

(高木賞)
・赤澤 啓史氏 
   旭川療育園
  :医師(岡山県)
(高木奨励賞)
 ・中村 直行氏
   神奈川県立こども医療センター:医師(神奈川県)

 「高木賞」を受賞された赤澤啓史氏は、昭和59年より岡山大学整形外科入局時から一貫して小児整形外科を専門とされ、大学院でも先天性股関節脱臼治療に関する研究をされました。平成3年から愛媛整肢療護園と旭川療育園の肢体不自由児施設2カ所で34年間、整形外科医として肢体不自由児の診療に従事し、平成18年4月からは旭川療育園園長に就任し、19年間にわたり施設長として尽力されている。平成27年に全国肢体不自由児施設運営協議会副会長および全国民営肢体不自由児施設連合会会長となり、肢体不自由児入所施設に係る諸制度の改善要望・提言等の活動に尽力された。さらに、平成27年から西日本肢体不自由児施設運営協議会会長、令和2年からは顧問として、西日本地域の施設発展と連携強化に貢献した。また、東日本大震災や熊本地震の時には、発災早期から被災施設入所児童の避難や救援物資調達を指導し、現場で尽力した。本リハビリテーション医学会代議員や中国四国支部幹事、日本小児整形外科学会理事、日本小児股関節研究会幹事としても活動した。岡山大学医学部臨床教授、新見公立大学非常勤講師、川崎医療福祉大学非常勤講師としても教育活動を行い、障害児療育に関する多くの事業・研究に取り組むとともに、数多くの論文を発表している。
岡山県さらに西日本の肢体不自由児療育に貢献された長年の功績は多大なものである。

また、「高木奨励賞」を受賞された中村直行氏は、整形外科専門医取得後、小児整形外科を専門に志し当センターに赴任。以後、本日まで研鑽を積んでいる。この20年の業績として当初は、肢体不自由児施設による療育を礎として、ペルテス病や創外固定器を利用した脚変形治療、脳性麻痺時の筋骨格障害の整形外科的治療及び研究を積極的に行ってきたが、近年は、研究歴、受賞歴にもあるように、ダウン症や脳性麻痺、筋ジストロフィー症に伴う脊柱変形の研究及び治療を主軸としている。現代医療の進歩に伴い長期生存が可能となった障害児者の脊柱変形が彼らの長期生命予後に悪影響を及ぼすことは良く知られているが、その脆弱な全身状態故、脊柱手術は難儀とされていた。その結果、それらの患者の脊柱変形進行は施設の中で放置され、絶命してきた。そこには、そのように生まれてきたくて生まれてきたわけでは無い人間の強い悲哀と絶望、悲惨さのみが溢れていた。一方、欧米諸国では、これら神経筋原性疾患に伴う脊柱変形に対する脊椎矯正固定術の有効性は良く知られていた。中村医師は、日本の障害児達の未来を変えるべく、安全な障害児への脊柱手術を達成するための困難なミッションに挑み、成果を上げている。そして、その中で得られた患者・家族からの感謝の弁、治療成績、治療管理に際して注意するべき点など、自らが得た多くの知見を、患者家族会、養護学校や他施設医療者に惜しみなく伝えるべく、日々、講演活動などを通して国内の啓蒙活動を積極的に行っている。今後、医療型障害児入所施設における診療・運営に指導的な役割を果たすことが見込まれる。


 贈呈式は、常陸宮妃殿下のご臨席を賜り、ねむの木賞・高木賞両賞委員会委員長の日本肢体不自由児協会遠藤浩理事長の挨拶に続き、当協会の岩谷力会長から受賞者それぞれに賞状が授与されました。
 そして、厚生労働省、文部科学省及びこども家庭庁からの祝辞をいただき、ねむの木賞及び高木賞の受賞者代表からそれぞれ謝辞があり無事に終了しました。

贈呈式前には、常陸宮妃殿下と受賞者の方々とのご接見の時間がもたれました。
 
 なお、上皇后陛下とねむの木賞受賞者とのご接見は、お代替わりに伴い令和元年度をもって終了しましたが、当協会より今年度の受賞者の皆様について上皇后陛下にご報告させていただきました。

 ねむの木賞・高木賞は、療育関係者の間では、最高の栄誉ある賞として、昭和・平成・令和と引き継がれてまいりましたが、この2つの賞が引き続き療育に携わる方々のかけがえのない目標とされ、大きな励みとなるよう当協会の事業の柱として、継続してまいる所存です。
 
 

第59回ねむの木賞高木賞受賞者の皆様

第59回ねむの木賞高木賞受賞者の皆様

「ねむの木賞・高木賞」受賞一覧
ねむの木賞過去受賞者
高木賞・高木奨励賞過去受賞者
ねむの木賞・高木賞授賞要項